梁山泊倶楽部

山岳会の会長やってます♪

新田次郎・藤原正彦著『孤愁(サウダーデ)』(梁山泊倶楽部の爺推薦図書) [H26.11.22]

 爺が“山屋”になるきっかけをつくったのは、新田次郎である。彼の山岳小説は、高校生の頃から読みふけり、昭和41年の就職による収入を得ることから、さらに、その熱を増してきた。もっとも、山を始め、山にのめり込むようになったのは、大病を患った後の不惑のときからであった。毎日新聞連載中の昭和55年(1980)、新田次郎逝去による絶筆となった『孤愁(サウダーデ)』である。

 父・新田次郎の未完の絶筆を息子の藤原正彦が書き継いだのがこの本である。新田次郎夫妻が終戦後、旧満州から引き揚げてきた経緯などは、新田次郎、藤原ていの夫々の作品に書き記されているので、皆さんもよくご存知のことと思う。そのときに旧満州で誕生した子息が、藤原正彦氏である。新田次郎逝去の折に、数学者である正彦氏が絶筆となった『孤愁(サウダーデ)』を書き継ぐことを心に誓って32年、遂に亡き父(新田次郎)との約束を果たした。
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』001
文芸春秋刊/新田次郎・藤原正彦著『孤愁(サイダーデ)』表紙
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』002
表紙帯の紹介文①
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』004
表紙帯の紹介文②
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』005
文芸春秋刊/新田次郎・藤原正彦著『孤愁(サイダーデ)』奥付
 新田次郎に関する本は、かつて殆どを読み尽くしていたので、まさか新刊本がでているとは知らずにいた。大の新田次郎ファンとして恥ずかしい限りである。爺のブログでも紹介しているが、奥様の藤原てい作品については、気が付いた折に読ませていただいている。まさか、子息の方が書き継いだ作品が世に出ているとは、不覚の爺であった。それも、2年も前に出版されていたとは・・・・。
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』010
作中の人物解説(カバー裏より)
 文芸春秋刊/新田次郎・藤原正彦著『孤愁(サイダーデ)』の作中の人物を記している。作品を読みながら理解する方法もあるだろうが、とくに外国人の場合には、こうした紹介(解説)の仕方がありがたい。
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』006
著者略歴(新田次郎、藤原正彦)巻末の紹介より
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』007
主要参考文献①
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』008
主要参考文献②
新田次郎・藤原正彦著『孤愁』009
主要参考文献③

《新田次郎著作部分の読後感》(「美しい国」~「日露開戦」まで)
 この作品『孤愁(サウダーデ)』の3分の2にて絶筆となった部分を読み終えた。久々の“新田次郎文体”に惚れ惚れしながら、作中人物/ヴェンセスラオ・デ・モラエスの足跡を追った。巻末の主要参考文献を見れば一目瞭然、日本国に火縄銃をもたらし、後の日本人が我が国の物と思っている数々の西洋物をもたらしたのが、ポルトガル国である。本著を読むまで主人公/モラエスのことを知らなかった爺、今更ながらもの知らずであったことを恥じる。とくに、幕末を経て近代国家を築く明治、大正年間には、お雇い外国人が我が国に招聘されて、現在に至る道筋を作ったことは周知の事実であろう。マカオの港務局副司令官のときに、ポルトガル海軍少佐として、戦艦の艦長を経験したモラエスが、日本に大砲と銃器を買付に来た。マカオには中国人妻と二人の子供がいるモラエス。作者の新田次郎がポルトガル、マカオ、長崎、神戸、徳島などモラエスゆかりの地を訪れ、1979(昭和54)年から毎日新聞に連載を始めた『孤愁(サウダーデ)』。本著を書き継ぐ藤原正彦著部分(「祖国愛」~「森羅万象」)、絶筆までの部分は前半の大きな山が、怒涛の如く読者の脳裏に訴えかける。すべて読み終わったら、改めて読後感を書き記したいと思うが、後にポルトガル国神戸領事となるモラエスの、日本人より日本人らしい繊細さ、日本人妻「およね」との出逢い、結婚などなど・・・、爺の心を揺さぶる筆致が心地よい。
(H26.12.8記)

《藤原正彦著作部分の読後感》(「祖国愛」~「森羅万象」まで)
 この『孤愁(サウダーデ)』新田次郎著絶筆後の3分の1を書き継いだ作品を読み終えた。新田次郎が書き残してから30有余年、子息の藤原正彦が父の作品取材地をすべて訪れ、主人公モラエスの足跡を改めて収集した。先述した新田次郎独特の文体を残しながら、作品の脈絡を損なうことなく、書き継ぐには30年余が必要であったのだろう。じっくり、ゆっくり読ませてもらった。父子2代で仕上げた元ポルトガル神戸領事のモラエス伝的小説、まさしく大作であった。久方ぶりの新田文学に接し、梁山泊倶楽部の爺も、若かりし頃から50数年の読書家としての自分を振り返ることができた。タイトル『孤愁』=『サウダーデ』を国語辞書で引くと、「ただひとりでいることのさびしさや悲しさ」とある。ただし、この作品の中では、モラエスが思う祖国ポルトガルから遠く離れて、日本という国に住いすることだけではないようだ。私たち日本人が思う「独りでいることの寂しさ、悲しさ」とは異なる感受性が、モラエスを初めとするポルトガル人とは異なる『孤愁』の意味合いがあることがわかる。読者爺の思うところと、貴方の感じるところを比較してみたいものだ。
(H26.12.13記)

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

このページのトップへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://ryozanpaku.blog102.fc2.com/tb.php/540-1354603e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
このページのトップへ

FC2Ad

プロフィール

かいちょー

Author:かいちょー
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する