梁山泊倶楽部

山岳会の会長やってます♪

新田次郎著「縦走路・先導者」を再読、“雪呼び地蔵”と吾妻連峰の教訓(その2)

 新田次郎著「縦走路・先導者」収録の“雪呼び地蔵”と吾妻連峰の教訓、続報として小説中の遭難以外に、実際にあった遭難または遭難寸前の事例を、山爺の記憶にあるままに、抜き出してみようと思う。
 

爺のブログにも書いたが、平成4年5月23日~24日、爺の勤務する会社の労働組合主催の吾妻連峰ハイキングの下見山行で引き起こした、同行者2名の遭難事故は、過去ブログを参照願いたい。
 日付は定かではないが、爺の友人らが所属する埼玉県のパーテーが、山形県/天元台から西吾妻山(西吾妻小屋)へ向かう途中、遭難して捜索隊が出動、結果的に翌日自力下山した。翌年か、翌翌年に、ビニールヒモを張り巡らして、再度、同じコースにチャレンジした形跡を、爺が、西吾妻山へ入山した折に見つけるなど、懲りない面々もいることを報告したい。
 その前後して、高湯温泉から家形山避難小屋を経て、霧ノ平を目指したグループが、避難小屋で1泊した翌日に、猛吹雪に遭遇してそのパーテーの殆んどの人が死亡した報道がなされた。 
 そして、我々、梁山泊倶楽部(当時は『関銀山の会』)が、吾妻連峰、しかも、新田次郎の小説「雪呼び地蔵」が著した付近を彷徨して、限りなく「遭難」に近い状況に陥ったことを報告せねばなるまい。

 平成7年11月3日~5日、連休を利用して、当時の「関銀山の会」(現:梁山泊倶楽部)爺を首謀者とする7人は、吾妻連峰へ入山した。車2台を使い、奥羽本線の峠駅に1台、滑川温泉に1台を置き、滑川温泉ー弥兵衛平小屋(旧明月荘)-東大顛ー西吾妻山ー天元台ー米沢駅ー峠駅のルートで入山した。滑川温泉を出発する頃、青空が広がり、天候が悪化するなぞ予測もつかぬ状況であった。
 滑川温泉からまもなく大滝の景観を横目に見ながら、姥湯分岐付近まではわけなく登り、潜滝沢・久蔵沢付近まで来ると、パーテーの足も遅くなり、天候も怪しくなってきた。雪降りが始まり、次第に、その密度が高まってきた。先を急ごうとする焦りもあり、パーテーの歩速も次第に遅滞し、夏なら水場と思われる付近で、S氏の歩行が鈍り始めた。その頃、雪降りはますます、その量を増し、視界は数十メートルまで落ちてきた。足元の道筋が読めなくなってきたとき、天の助けか、我々の後ろから、3名(くらい)のパーテーが追いついてきた。地元のメンバーらしく、積雪に埋まった登山道を、しっかりした足取りで進んでいった。リーダーである爺は、パーテー唯一の女性参加者Nさんに、このパーテーの後をついて行って、弥兵衛平小屋へ着いたら、雪の踏み後を辿り、我々の所へ戻って来るよう指示した。

 弥兵衛平小屋は目前ながら、先行したパーテーの踏み跡もすぐに、降り積もる雪に消えてしまうほどであった。当時の爺(リーダー)は、仲間の状態を気遣いながら、間違いなく避難小屋まで行き着く義務を負っていた。加えて、別なパーテーの後を避難小屋まで向かったN嬢の安否も気遣わねばならなかった。歩行が困難になっていたS氏の状態を見ながら、途中で、凍傷が心配で、S氏の手の指を口にくわえてしゃぶってみたが、思ったよりも暖かく、これなら凍傷にはなっていないと確信した。
 そうこうするうちに、避難小屋へ向かったN嬢が空身で、我々の所へ戻ってきた。心底、彼女が戻ってきたこと(遭難したのではとの心配が払拭した)に安堵した。彼女は戻ってくるなり、S氏のザックをとりあげて、自分の肩に背負い、再び、我々のパーテーの一員となり、さらに、我々を弥兵衛平小屋まで導いてくれたのだ。


 弥兵衛平小屋は、すぐ目の前にあったが、明月湖をぐるりと回って向こう側にあるために、先行パーテーが追い抜いてくれなければ、誤って明月湖にはまってしまうところであった。山小屋に到着すると同時に、リーダーである爺は、皆の健康状態を把握して遅い晩飯の支度を指示した。その頃、爺は肉体的・精神的疲労が蓄積して、皆が作ってくれた晩飯が、まったく喉を通らなくなっていた。仕方なく、一人、シュラフに潜り込んだが、汗が冷えて寒くてしようがない。仲間のY氏が自分のアルミ製水筒にお湯を入れ、タオルで包んで、爺のシュラフに入れてくれた。おかげで、爺は、数時間後に生き返り、夜中に、晩飯まで食べることができた。この当時の恩は今でも忘れない。

翌日、一晩中降り続いた雪は、吹き溜まりでは腰まで没するほどであり、晩秋から初冬の山行の厳しさを教えてくれた。このときの模様を、別途、写真で掲載するので、これから冬に向かっての入山の参考にしていただきたい。

大滝展望
11月3日、登山初日に大滝を展望
疲労と寒さで参った爺
弥兵衛平小屋に無事到着して疲労と寒さに参った爺(リーダー)
雪をまとった弥兵衛平小屋
11月4日、一夜で雪を冠した弥兵衛平小屋と周囲の森
降雪の翌朝の東台顛方面
降雪後(翌朝)の東大顛方面遠望
翌朝の弥兵衛平小屋前にて①
翌朝、弥兵衛平小屋前にて①
翌朝
翌朝、弥兵衛平小屋前にて②
腰まで吹き溜まりの雪
山小屋前の吹き溜まり(一晩で腰まで積雪)
夏の水場付近を尻制動で下山
水場付近を尻制動で下山
翌朝の下山途中の風景
下山途中で小山に登って記念撮影
降雪とナナカマドの実
降雪後のナナカマドの実
下山路で東大顛を振り返る
下山路より東大顛方面を振り返り見る
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